「塩田千春展 永遠の糸」を見てきました!
岸和田市にあるマドカホールでの「塩田千春展 /永遠の糸」へ行ってきた。
塩田千春さんの故郷である岸和田市で、はじめての凱旋展とも言える展示。
私は塩田千春さんのインスタレーションを初めて目にする。昨年の東京での展覧会がうらやましくて仕方なかったので、今回の展示を知ったときはとても心躍った。
この展示は故郷での展示という意味がとても込められていたと感じた。
赤い糸が会場の柱をぐるりと囲み、内部に張りめぐらされている。近隣の小学校たちが書いた大切なものを描いた紙が、交差する赤い糸に抱かれている。
いのちを感じた。
心がふるえた。
子どもたちの大切なものを描いた紙は、ひとつひとつは小さいけれど、パネルで紹介されている。親子連れが見にきていて、僕のはあるかな?と話していた。
私はあえてそれらの一つ一つを見なかった。子どもたちが描いた大切なものがとても個人的なものに思えて、見ることができなかった。たぶん描いた子どもたちの親だったなら、きっと記憶に残そうと懸命に見たように思う。
だから、大切なものという要素だけ、私はざっくりと感じることにした。
アートはどんなふうに見てもいいから。
壁面には何点かのドローイングがあり、塩田千春さんのアーティストとしてのこれまでのパネル展示がずらりと並ぶ。
私は昨年の東京での展示の写真以外、塩田千春さんの作品を見たことがなかったので、そのパネル展示での写真だけでも、惹かれるものがあった。
「死と生」「再生」。パネル展示の中にもそんな言葉があった。
パネル展示で見た写真の中のインスタレーションを、実際に見ることができたら、どんな感覚になるだろうと思い浮かべては、心を躍らせていた。
映像作品としてインスタレーション作品の展示までの風景を撮影したビデオ映像が2点あった。それを見ると膨大な量の糸、何人もで糸をはりめぐらされている。
2018年京都文化博物館での「胡蝶の夢」の展示風景を撮影したものを見て、その中にいたら心地よいだろうなぁと思った。繭のようで。京都文化博物館のあの特別な展示室でのインスタレーションは、その空間をも含めて独特な雰囲気を感じさせる。
インスタレーションは、その場にいることでしか感じられない独特の空気感がある。
その記録として、写真や映像は残るだろうが、その場は、空間そのものは残らない。だからこそ感じられる臨場感があるように思う。
心がふるえた、その一瞬を記憶に閉じこめておこうと思う。
「塩田千春展 永遠の糸」
岸和田市のマドカホールで、2020年2月5日(水)〜3月15日(日)の日程で開催されている。
入場無料。
塩田千春さんのサイト