みやふきんの見聞録

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幼なじみの恋について 〜とある映画のシーンについて考える〜

 最近、俳優の若葉竜也さんに夢中です。映画「愛がなんだ」で存在に気づき、NHKの朝ドラ「おちょやん」でハマりました。彼の出演する過去作を追って観ています。 先日、若葉さんが15、16歳頃の出演作である2006年の映画「恋する日曜日」を配信サイトで観ました。監督は廣木隆一さん。私は過去に「きみの友だち」という重松清原作の映画を観ています。(これ、めっちゃいいです。石橋杏奈さん吉高由里子さん出演)

 幼なじみの恋のお話で、すごくきゅんとして、いいなと思うシーンもたくさんありつつも、違和感を感じることがあって、モヤモヤするのでブログに書いてみようと思いました。

 

※ネタバレするので、これから作品を観ようと思っている方は、この先は読まないで、観てからまた読みに来てください!

 作品を観るつもりはないけど、私がどんなことを思ったかだけ知りたい人はこの先も読んでもらっていいと思います。なるべく作品の内容がわかるように書いていくつもりです。

 

 さて、映画「恋する日曜日」どんな物語かというと……

Paraviの作品詳細から引用します!

 晶(水橋貴己)は父親の仕事の都合で終業式を機に転校することが決まっていた。晶の心に残るのは、幼なじみの直(若葉竜也)への密かな想い。しかし、直は環(芳賀優里亜)に夢中の様子。そんな中、晶の送別会が行われる。最後の日を2人きりで過ごそうと思っていた晶の気持ちをよそに、直は環を送別会に呼んでしまう。そして晶は送別会の最中の些細な喧嘩がもとで家を飛び出してしまう。直の気持ちをもてあそぶ環の態度が許せない晶。その時、弓道部の先輩であり、環の元彼の楽(佐々木和徳)が現れて……。4人の恋の行方は?長野県松本を舞台に描かれる青春の甘酸っぱいラブストーリー。

  少し(いや、かなり)補足。弓道部の晶は、引越し前日の終業式に部の先輩である楽から告白される。でも、晶は幼い頃からずっと幼なじみの直のことが好きで、好きだとはずっと言わないでいた。引越し前日に何人かの友達も招くと幼なじみの直も呼び、もともと呼んでないことは言わないで他の子たちはドタキャンになったと言って、晶は直と二人きりで過ごすつもりだった。大勢の方がいいだろうと直は仲良くなった同級生の環も送別会に呼ぶ。そこで晶は環から仕返しのつもりで直に接近したことを聞く。(環とつきあっていた楽が晶に好意を持っているため別れたから。)晶は家から飛び出して、幼い頃の直と結婚ごっこをして遊んだ思い出の場所をめぐる。そのうちに環の元彼の楽に会ってしまい、探しにきた直と環もその場に合流する。そこで晶は楽に勝負を持ちかけられる。勝った方が言いなりになるというもの。弓道で晶が勝ったら楽は環とよりを戻してほしいと頼む。楽からこっそり晶に持ちかけられたのは、楽が勝ったら晶と付き合うということ。夜の学校に忍びこみ、勝負する。晶が負けると楽とつきあうという条件をその場で聞いた環が怒って、楽は晶が直を好きだということをバラしてしまう。環が非常ベルを鳴らして校内を逃げる最中、直は晶の手を取って、屋上まで階段をのぼる。二人で手を繋いで階段をのぼり、1分以内で屋上に行けたら二人は永遠に結ばれるという学校の伝説。それを学校に忍び込む前に環から聞いていた。屋上で直は今の自分の気持ちを晶にもらす。浮かれていた自分が格好悪い。二人は給水タンクらしきものに座っていたけれど、直は立ち上がって、顔を見られないようになのか背を向けて自分の気持ちを話す。

(ここからセリフ込みの描写をはじめます)

 

「俺だって晶のこと好きだけどさ、それは幼なじみとしてというかさ……」

 晶は立ち上がって直に近づき、後ろから手を取ってゆっくり振り向かせ、何も言わずにそっとキスをした。

「あたしは、あたしは直が誰を好きになってもかまわない。離れてたって平気。だから、振る振らないとかそんなのどうだっていい。あたしがおばあちゃんになったら、おじいちゃんになった直に会いたい。会って冗談言ったりケンカしたい。あたしの好きはそういう意味だから」

晶はまっすぐ直を見る。

「晶……」

「直と幼なじみでよかった。すごく楽しかったよ。ありがと」

 泣き出してしまう晶を見つめる直。直はゆっくり晶に顔を近づけておでこをくっつける。

「今度は俺が泣かしちゃったな。はじめて会った時も泣いてただろ」

 泣き続ける晶を、おでこをくっつけたまま、直はやさしく見ていた。

 

(補足。晶は幼い時に母親を亡くし、泣いていた時に直がそばに来て手を握ってくれたことがあり、そこからずっと直を想っている。)

 

 この、おでこをくっつけるというの、とても絵になっていた。屋上から見える長野県の長閑な朝の風景に、浮かび上がる二人のシルエットが本当に綺麗だった。きゅんとした。

 でも!

 高校生の幼なじみがこんなに距離近いもんかな? と思ってしまった。こういうなぐさめたい場面では、頭をぽんぽんとか、背中をぽんぽんとか、ただそばにいるとかがよく見るシーンで、おでこをくっつけるのは、はじめて見た。今までになかったから違和感なのかもしれない。朝ドラ「半分、青い」では背中合わせに座っていたシーンがあった。あれもはじめて見たけど、あれはアリだと思ったし、ドラマの中でめっちゃきゅんとしたシーンのひとつだった。

今回のは、一度目、すごく違和感があった。このブログを書こうと思い立って、二度目に見て、少し印象が変わった。直は晶を幼なじみ以上とは思えない、けれど大切な存在。だから、最大限に自分から近づけるのはここまでで、ギリギリまで近づいてあげたかったのかな、と。

 

 映画はここでエンディングではなく、朝までいた学校からの帰り道の、幼なじみらしい二人の会話、そしてこの町を出て行くため電車を待つ晶、その時に見送らずに家で親とご飯を食べている直、塾へいく楽、バンド仲間とコンビニ前で話す環、と四人のそれぞれが描かれて、晶が電車に乗ってこの町を後にするところで映画は終わる。

(もうひとつの線として、晶たちを教える教師の同級生の帰郷に晶が出会い、話をすることと、教師とその同級生の関係、階段の伝説が絡む。暗にそれは晶と直の未来を示すものとしての布石とも取れる)

 

 晶は直に幼なじみでよかった。たのしかったと伝えている。ここで関係が過去になってしまったのかな、と私はすごくせつなかった。

 幼なじみが最大で一緒にいられるのは高校生までだとは思う。私の同性の幼なじみはそうでした。でも、その先は自分で関係をつないでいかないと続かない。共にいることでの関係性はなくなってしまっても、薄くなってしまっても、繋がり続けることはできる。繋ごうとすれば。私の同性の幼なじみは続いている。会っていなくてもメールだけでも。

 でも、晶はここでそれをやめてしまうんだろうな、と思うとせつなかった。

 おばあちゃんになった晶がおじいちゃんになった直に会ってほしい。そう強く願う。

 

 結論。

 おでこくっつけて慰めるとか、近すぎる!

 こんなのはじめて見たから違和感あったけれど、よくよく考えてみると、めっちゃ素敵だった!

 

 ずいぶんネタバレしてますが、それでも観たいと思った方はレンタルしてみて下さい。

 映画「恋する日曜日

 Paraviでも配信されてます。二週間お試し無料です。 

www.paravi.jp