みやふきんの見聞録

見聞きしたり感じたものを記録するブログ

「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展を観にいってきました

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京都府京都文化博物館で2022年2月26日〜4月10日まで開催中の「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展を観にいって来ました。行ったのは3月5日(土)。10時の開場を待つ人が10人くらい列を作っていました。開場してすぐなので、人はめちゃくちゃ多くはありませんが、一人絵の前に立ち、次の人がゆっくりと待つというような流れでした。

撮影可能だったのでシャッター音が聞こえてくることもありましたが、私が見ているまわりの方々は、むしろ絵に集中してしっかり見ておられる方がほとんどでした。

 

名古屋市博物館の個人コレクション(尾崎久弥氏と高木繁氏)をそっくりお借りしての企画巡回展。国芳とその弟子たちの浮世絵です。

2019年2月〜4月の名古屋市文化博物館から始まって、広島県立美術館福岡市博物館と巡回。2020年は浜松市美術館、2021年は高崎市タワー美術館、郡山市立美術館。そして現在の京都文化博物館での開催となっています。

本当は2021年6月開催予定だったのが、延期になっての開催だったようです。

 

私の目当ては国芳芳年でしたが、思いのほかいいなと思ったのは落合芳幾でした。「英名二十八衆句」は芳年と芳幾の連作でそれぞれが14図ずつ描いているもの。今回はすべて見ることができて素晴らしかったと思う。芝居から題材を得た無惨絵で、展示スペースでは怖いのを見たくない人はそのブースを飛ばせるように、順路が組まれていました。

私はもちろんしっかりじっくり見ました。

特に気に入ったのは芳年の「福岡貢」。動きがあって美しい。芳幾の作品も艶っぽい感じで良かったです。


浮世絵のなかには、少し滑稽なものもあり、人の顔が、人の体の集まりでできているのとか、集合体がなにかの形を成すものが少しだけ集められていました。

国芳だと猫髑髏が有名だと思います。

今回、会場内撮影可能でしたので、どうしてもの一枚だけ撮ろうと決めていました。

撮ったのは獅子が集まって花になっている作品。

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作者は国芳と伝えられているけれど、遠浪斎重光かもしれないという。

とにかく愛らしい。

国芳は猫の愛らしい作品も多いと思いますが、今回の展示は猫要素少なめでした。今回のでは、擬人化した「里すずめねぐらの仮宿」が私は好きだなと思いました。


展示はいくつかのセクションに分かれていて、浅茅が原の鬼婆伝説を描いたコーナーが面白かったです。 国芳が絵馬を奉納したことから広がった浅茅が原の鬼婆伝説を描いた浮世絵。こうやって一堂に集めて展示されることで、題材をどんなふうに描くのかという切り取りかたの妙を知ることができて面白かったのでした。

そのなかでも芳年の「奥州安達がはらひとつ家の図」という作品が良かったです。

なかなかに残虐な浮世絵ですが、構図もすごいですが、妊婦の丸い腹や、髪の毛の細やかな線には圧倒されるし、老婆の皺も印象に残ります。


私が芳年に興味を持ったのは友人の影響で、数年前のこと。芳年の作品をここまで多く見たのは初めてで、テンション上がりました。私のなかでは、「国芳から芳年へ」展の最高のクライマックスは、芳年の「東名所墨田川梅若之古事」でした。

本当に美しい。散る花と川に浮かぶ月明かり。命儚き少年の、風に翻る袖。

ずっと見ていたいと思う。

その瞬間、時が止まったように感じるなんとも素敵な浮世絵です。


私が良いと思った芳年の3作品はポストカードになっていました。月百姿シリーズのも。

いつか月百姿シリーズはたくさん見てみたいです。

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 左上:芳年「安達がはらひとつ家の図」中上:芳年「英名二十八衆句 福岡貢」右上:芳年「月百姿 吼噦」中下:国芳「里すずめねぐらの仮宿」下:芳年「東名所墨田川梅若之古事」


公式サイト↓

https://www.bunpaku.or.jp/exhi_special_post/kuniyoshi-yoshitoshi2022/