みやふきんの見聞録

見聞きしたり感じたものを記録するブログ

BIWAKOビエンナーレ2022に行ってきました!

BIWAKOビエンナーレ、この数年ずっと気になっていましたが、今年は気になるアーティストさんが複数名出展されているので見に行くことにしました。

 

まず、BIWAKOビエンナーレとは何か。

今年で10回目の地域アートイベント。展示のほとんどは有料で1ヶ所500円。エリアごとパスポート3000円や全エリアパスポート4500円なども販売されている(開催年によって違いがあるかも。料金は2022年のもの)。

私は近江八幡駅の観光案内所で近江八幡エリアのパスポートを購入。パスポート購入するとパンフレットがもらえます。観光案内所は現金のみの取り扱い。

 

BIWAKOビエンナーレ公式サイトはこちら↓

各エリアの展示会場や出展アーティストを見ることができます。

国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2022|International Art Festival BIWAKO BIENNALE 2022 - 近江八幡&彦根で行われる国際芸術祭BIWAKOビエンナーレ2022

 

YouTubeで作品紹介動画もあります。

https://youtu.be/p5CmSC_cxLY

 

私が当日辿ったルートを簡単に示します。

近江八幡駅に着いたのは10:30頃でした。

 

①旧八幡郵便局

バス(6番乗場から発車)にて、八幡山ロープウェー口で下車、仲屋町通りから駅方面へ徒歩数分。

(アーティストの小作品、ポストカードや図録などはここだけで販売)

②まちや倶楽部(郵便局の向かい側)

③旧扇吉もろみ倉

④禧長

(白雲館へ寄り道)

⑤藤ya

⑥カネ吉別邸

(千成亭でイートイン昼食)

⑦寺本邸

八幡山ロープウェー口からバスで近江八幡駅まで。駅から琵琶湖線にて彦根まで(快速で20分程度)

⑧中野家具2号館(駅から徒歩20分程度)

徒歩で彦根駅まで。彦根駅から近江鉄道で一駅5分程度で鳥居本へ。

⑨有川家(駅から徒歩7分程度)

 

この行程で千成亭でお昼にしたのが13時過ぎ。近江鉄道鳥居本駅に戻ったのが16:20くらい。このアートイベントの注意点は各会場が開くのは10:00、最終入場は16:30で17:00には閉まること。

会場が開いている時間が短いので、エリアを跨ぐのはなかなか難しいです。私は近江八幡旧市街地エリアで中心地から離れた展示には行かなかったし、彦根エリアでもピンポイントで見たいところだけを見たので、なんとかなったのかな。2022年の展示を全部余すところなく見るなら近江八幡旧市街地で1日、沖島で1日、彦根城周辺と鳥居本で1日と3日間は必要だと思われます。

 

さて、ここから本題。

見てきた展示について写真とともに感想を語っていきます。(すべての展示については語りません。印象に残ったものだけ)

 

1.旧八幡郵便局

 

Say Say Say,Inc.の作品

エントランス内にある。オーストリアのアーティスト。時々、風で揺れているのもよかった。

 

藤原昌樹の作品

もともとの場所に合わせた造形がカッコいいと感じた。

 

田中誠人の作品

部屋にしかけのあるインスタレーション

黄色いランプが点いている時に入室して、しばらくするとランプの色が変わり、部屋に変化が現れる。入室は3名までとなっている。5分ほどのインスタレーション

変化して見えたものから、感じて考える面白さがある。

 

2.まちや倶楽部

入ると店舗がある。その奥に展示スペース。黒い幕をかきわけて進むのが非日常感。どうやら倉のようなスペースでの展示。

 

赤松音呂の作品

水の入ったガラスの容器の底の磁石で渦巻きを起こして、音を鳴らす。暗く静かな場所で、照らされる光とものの影と、不思議な響きをもつ音の空間。以前、数奇景という展示で作品を見て虜になった。このまちや倶楽部での空間は、より影が深くて、幻想的。

 

市川平の作品

ライティングが何分かの周期で変わる。蓄光素材の光なのか青緑色に光るタンクが、どこか禍々しい雰囲気でSF世界のような感じ。

 

米谷健+ジュリアの作品

私はTwitterで東京のMIZUMA ART  GALLERY をフォローさせてもらって、アーティスト作品の情報を得ているのだけど、Twitter上で時々見かけていて、いつかは作品を見てみたいと思っていました。なので、今回、作品を見ることができてとても嬉しいのです。

クリスタルパレス」という作品。シャンデリアの大きさは、原発で生産される電力量。ウランガラスの色が毒々しくて美しい。

 

米谷健+ジュリアの「Dysbiotica」

異形のものから連想する危機感を覚える。少し暗い空間に影が強く現れるのが、作品世界の一部のようだった。

 

佐々木類の作品は、私のiPhoneが6sと古いため、暗い空間での撮影に不向きで、写真には収められなかった。暗幕に覆われた暗闇に入ると、ぼんやりと天井から吊されているものが見えてくる。ガラスと蓄光素材のそれは、重みを感じさせず、しかし空間に存在する気配はしっかりあって、人の中の見えなくても感じることのできる能力を引き出してくれる気がした。静寂の中のほのかな光。インスタレーションならではの感覚を味わえた。

 

小曽川瑠那の作品「けしきを織る」

天井から吊るされたガラスの球体。部屋の奥から差し込む光。そして、2階の床下に開けられた四角い穴から吊るされた電球が一階のこの部屋へと降りてくることで、光が変化していく。まさに、けしきが織っていかれる変化を見て、空間と時を感じるインスタレーション。ずっと織られるところを眺めていたい作品。

 

ガブリエラ・モラウェッツの作品

スクリーンの前に置かれたものとスクリーン上で人がしていること、その二つを感じることで成立するインスタレーション。はじまりからおわりまで見れなかったので、雰囲気だけを感じた。呪術のような印象だった。

 

3.旧扇吉もろみ舎

saiho+林イグネル小百合の作品

瓶の中の紙は、紙の色によって書かれる内容が異なっている。瓶の中にはコロナ禍で来れなかったアーティストや来場した方に書いてもらった言葉が入っている。青の紙は作品を通して心に浮かんだ言葉。黄色の紙は大切に思うこと、大切だと気づいたこと。ピンクの紙は会いたくても会えない誰かに伝えたいこと。

想いの数だけ瓶をかたちとして感じられる。言葉は知らない誰かの言葉。

いつも思うけれど、こういう言葉を介したインスタレーションは、どう見ていいか、少し戸惑う。私は人との距離感が遠いからかもしれない。

 

もうひとつの作品は暗闇のなかに光があたって花が浮かび上がってくるインスタレーション。その花は曼珠沙華。私は見ながら、死を、その弔いを感じていた。

 

4.禧長

アトリエシムラの作品

浮かび上がる織り機の糸。そこに存在する色の豊かさが神秘的。

アトリエシムラの京都のお店には一度行ったことがある。志村ふくみさんの展示も以前見に行った。このインスタレーションはその象徴のような存在だと感じた。

 

サークルサイドの作品

光で表現されるものは、さざなみのようであり、海のようで、織物のようだった。

交錯する光の線や点が音と共に現れて消えていくさまが、美しかった。

 

宇野裕美の作品

古い家屋に張り巡らされた赤や白の網のようなもの。結界のようにも思えるインスタレーション

 

横山翔平の作品

古い日本家屋という場をさらに印象深いものにしているガラスの造形。他の場所にあるよりも、ここにあることで、いきている感じがある。

 

海野厚敬の作品

ダークな世界観に惹き込まれる。暗い圧を感じる。

 

江頭誠の作品

やわらかい素材、もこもこした愛らしい花だつたり、淡いピンク色だったり。なのにどこか毒を感じる奇妙な世界観でおもしろい。

 

給田麻那美の作品

母屋ではなく、離れの、それも一間だけの空間に作品があり、それが島みたいで、作品と合っているように思えた。じっくりみると愛らしく思えてくる造形。

 

5.藤ya

亘章吾の作品

ライティングがより作品を引き立てている。

曲線が美しいかたち。

 

6.カネ吉別邸

西島雄志の作品

天井から吊るされた鳳凰。作品に近寄ると小さなものの集まりでできていることがわかる。この空間にあるからこその神秘的な造形。

 

細井篤の作品

質感と曲線、ひねりがかたちづくるもの。その影。

はじめて作品を見たけれど、かなり惹かれる作品たちだった。今後もまた作品を見てみたいと思った。このアーティストさんに出会えたのは今回の収穫。

 

赤松音呂+横山翔平の作品

横山翔平のガラスに、赤松音呂の装置。

以前見た赤松音呂の作り出す世界観とはまた違うスケール感でおもしろい。音も、水の渦も、ゆれも違っている。コラボだからこその空間。

 

田中哲也の作品

狭くて急勾配の階段で2階へ上がる。軋む床を進むと見えてくる、光る葉っぱのたくさん入った箱? この空間にあるからこそ、存在感がある。

 

本郷芳哉の作品

2階にありながら、少し床が下がった場所にある造形。

仄暗い空間にあるからか、蔓延という言葉が湧き上がってきた。造形が商家の空間とすごく合っている。

 

7.寺本邸

永邦洋の作品

私の実家の床の間に獅子の置物があり、和室にはこういう置物が似合うと思った。

細かい造形。重厚な存在感ある。

 

浅野暢晴の作品

入口で靴を持って入ってと言われるのは、この造形を見るため。庭に溶け込んでいる造形物を、しゃがんでじっくり見ると、ほのぼのする。愛らしいもののけみたい。

8.中野家具2号館(彦根エリア 彦根城周辺)

林勇気の作品

この方の作品が展示されるというのも、BIWAKOビエンナーレに来たいと思った要因のひとつ。

10分程度の映像作品。暗幕が張られた暗闇の空間にプロジェクターで光の映像が映し出されている。光は集まり、かたちを作り、変えながら消えていき、また集まり、形になっていく。

銀河のかたちのような、惑星のような、遺伝子のかたちのような、集まり、形作られ、拡散していくさまが、生命の象徴のように思えて、ふと、東京 谷中で見た宮島達男のデジタルカウンターのアートを思い出した。そういえば、林勇気さんの作品に出会ったのは、ARTIST'S FAIR KYOTO2022で、宮島達男さんが推薦されていたのだった。

 

9.有川家(彦根エリア 鳥居本

 

塩見亮介の作品

旧八幡郵便局でグッズのポストカードを見て、当日に見に行くことを決めたくらい、カッコいいと思った。実物を見て、見に来て良かったと思った。今まで鍛金家という存在を知らなかったので、その技術について、まったくわからないのだけど、見たら凄いということだけは感じられた。

動物の鎧というのが、まずかっこいい。そしてその金属の質感がすごい。ほれぼれするほど美しい。

この伝統ある屋敷の空間にあるからこそ、造形の美しさ、世界観が際立っていると感じた。

 

 

以上、拙いながら作品の感想を語ってまいりました。

ただ、何気なく見て感じるのもよし、サイトのステートメントを読み込んで深く感じ入るのもよし。現代アートは自由に感じていいものだと私は思っている。だから、私なりの感じかたで言葉にしただけのこと。

他にも写真は撮ったので、そちらはInstagramにアップしようと思います。

みやふきんのInstagramは、アート展へ行った記録と花で埋められています。

よければご覧下さい。

https://www.instagram.com/p/ClDGpvIpFY1/?igshid=YmMyMTA2M2Y=

最後に全体的な感想など。

地域アートイベントは、私は3年前くらいから見に行っていて、これまで六甲ミーツアートや木津川アートなどに行きました。それぞれにその土地の風景を活かしたアートがあって、どれも素敵でした。今回もメインの近江八幡という、古い街並みの由緒ある屋敷などの中で、それらの場所と融合したようなアートをたくさん見れて、めっちゃ幸せでした。

私は古い街並みが大好きだから、その場を見れるという、一粒で二度とおいしい味わいができるのは最高です。

 

ただ、思うのは、ハイカットスニーカーを履いてくるのではなかったということ。玄関で靴を脱いで鑑賞するところばかりなので、脱ぎ履きするたびに紐を結ばないといけない靴は不向きでした!

あと、狭くて急勾配な室内の階段も結構のぼりおりするので、もっと動きやすい服にすればよかった!

これから行かれる方は参考にしてみて下さい。

 

本当に長々とここまでお読みいただき、ありがとうございます!

行った方もこれから行かれる方も、行く予定のない方も楽しめる内容ならいいんだけどな、と思いながら……。