「志村ふくみ展 いのちを織る」を見てきました!
姫路市立美術館にて開催中の「志村ふくみ展 いのちを織る」を見てきました!
平日で雨のせいか、人はまばら。
コロナウイルス対策で、チケットを買う前に警備員さんがやってきて、おでこに近づける体温計にて測定。チケット購入後、住所氏名を書くか、QRコードを読み取り、兵庫県のコロナウイルス追跡システムにメールアドレスを登録するか、どちらかを選択して処理しないと入場できない。
それらを済ませた後、まず現れるのは郷土にまつわる絵画たち、ここはあとでも観れると案内係の人が声をかけてくれる。素通りして奥へ。蔵書コーナーやミュージアムショップを抜けて更に奥へ行くと、チケット半券をちぎってトレーへ置く有人のカウンター。そこを経てやっと志村ふくみさんの展示を見ることになる。
まず現れるのは「紅襲(桜かさね)」の着物。チラシの裏面に写真のある着物だ。ここだけ時系列的に外れているが、導入としてその世界観に入り込むのに、このやわらかい色の着物は、素晴らしい役目を果たしていると思う。
そして作品に添えられている言葉もまたうつくしく、そちらも世界観に誘うひとつの役割だと感じた。
志村ふくみさんは母の影響を受けて織物を始められたらしい。最初は滋賀の近江八幡で作品作りをされていたが、やがて京都の嵯峨に工房を構えて、藍建てもされるようになられた。
糸を草木で染め、紬織りというスタイルを貫き、パウルクレーの絵やシュタイナーの色彩論などに刺激を受けて、独自の世界を作っていかれたさまを、展示で知ることになった。
「色と光のこころみ」という作品は隣りあう色が交わって別の色が見えるという視覚の効果を取り入れた作品で、その色彩に感動した。
いろんな作品を見ていくなかで、この柄はかわいい、素敵だな、着てみたいなと思ったり、ただただ色の美しさ、グラデーション、作品の素晴らしさに胸を打たれるものもあった。
「湖上夕照」は、その色合いと紬織りの模様がしみじみと心に沁みて、涙が出そうになった。
おみやげにとポストカードを買いました。
源氏物語シリーズとして、登場人物の女性の名前の題名の作品がある。
前期日程で展示されていた中で印象的だったのは、「橋姫」の赤のコントラストと「明石」の白と青「明石の姫君」のやわらかい色の着物。
「明石」と「明石の姫君」は滋賀県立近代美術館のデータベースで写真を見ることができる。
データベースが存在するように、滋賀県立近代美術館蔵の作品がほとんどで、あとは個人蔵のもののよう。作者の故郷が作品を収集している(あるいは作者の寄贈か?)ことは喜ばしいことだと感じる。
(2020.7.26追記
図録兼書籍である「志村ふくみ いのちを織る」によれば、滋賀県立美術館が最初に所蔵したのは「聖堂」という作品の購入で、志村ふくみ展を開催したのをきっかけに作者より寄贈を受けたり、志村作品のコレクションをされている個人の方からまとめて作品を購入および寄贈を受ける機会があって、まとまった所蔵数となったとある。)
また、検索をかけると過去に滋賀県立美術館で志村ふくみ展をされた時の美術館公式ブログが見つかったりして、そういうのを読むとより作品について深まってよいなあ、と思う。
その公式ブログリンクはこちら↓
https://shiga-kinbi.hatenadiary.org/entry/20120525/1337904527
姫路市立美術館は横長の展示スペースなので、順路がわかりづらいのが難点かなあと感じた。今回の展示は三章仕立て。第一章 近江八幡にて、第二章 嵯峨⑴、第三章 嵯峨⑵と分かれていて、第二章までを横長二つを真ん中で区切って左右に分けているので、最初ずっと左側ばっかり見ていると、展示の数字が急に大きくなり、?と思う場面もある。回遊式に見れなくて少し残念な気持ちではあった。
しかし、そんなことがくすむくらいに、ガラスケース越しではあるものの、実物をこの目で見て、織物の質感を感じることができたのは、なにより感動的だった。
映像のコーナーでは、志村ふくみさんの染めと織りの映像と自然の風景を合わせたものが映し出されていて、人が少ないので独り占め。
ミュージアムショップでは、着物のポストカードが8種類くらいあったかな? あと一筆箋が4種類くらい。他には志村さんのショップで販売されている便箋や草木染めマスク、図録や関連図書があった。
レジ近くには明珍火箸風鈴の見本があり、店員さんが扇風機をあててくれて、音が聞けたりもした。ショップのは一万円以上するいいやつ。安いのは五千円からある。私が過去に義母へ贈ったのは五千円のだったけど、すごくいい音色。癒される。
美術館の前庭では、志村ふくみ展と同時開催で音と光のインスタレーションが開催されている。昼間は光はないけど、前庭に設置されたスピーカーから、作曲家の菅野由弘さんが作曲した明珍火箸風鈴の音響が響き渡り、風流な雰囲気だった。
「志村ふくみ展 いのちを織る」詳細はこちらから↓