みやふきんの見聞録

見聞きしたり感じたものを記録するブログ

「下村良之介 遊び礼讃」をみてきました!

BBプラザ美術館(神戸市)で開催されている「下村良之介 遊び礼賛」展へ行ってきました!

とにかくワクワクが止まらない展示内容でした!

f:id:mi8fukin:20191221054316j:plain

BBプラザ美術館 入口

f:id:mi8fukin:20191221054425j:plain

同じく入口

f:id:mi8fukin:20191221054532j:plain

BBプラザ一階の道に面したショウウインドウに掛けられた宣伝タペストリ

この展覧会はBBプラザ美術館の開館10周年記念展であるという。

下村良之介亡き後のアトリエの整理を、BBプラザ美術館の顧問の方が氏のご縁ある方々と一緒にされていたご縁で、今回の展覧会の開催の運びとなったようである。(BBプラザ美術館発行のパンフレットに記載されている)

だからこそ展示できた作品がいくつもあるのだろうと感じた。

 

美術館入口のすぐそばにある「打法僧」という やけもの(焼き物ではなく、やけたものだから、そう呼ぶらしい)。モーターが付いていて2分間隔で音が鳴る。その仕組みは、鳴鳥徳利(大きな展示室に展示されているが、音は聞けない)と同じなのかな?と思った。傾けると音が鳴るらしい。

ここからもうワクワク感が高まるというもの。

 

下村良之介という画家はとにかくたくさん鳥を描いたらしい。

エッチングのSIAM 十二神将のシリーズは銅板の原版も展示されている。

舞妓のエッチングがかかる通路を抜けてからが、テーマに沿った展示が始まる。

 

戦後すぐの物不足の時期に描かれた人物画や、パンリアル美術協会の仲間と新しい自由な制作に打ち込んでいた時期の作品が第1期として展示されている。

第2期では、ずっと描き続けることになる鳥を題材にした作品が登場し、紙粘土と紙、顔料を使用して制作された、立体的な作品が登場する。それにはやはり息をのむ。何の鳥かわからなくても、羽があり、骨がある「鳥」というのが、画面から浮かびあがるかのように造形されている。紙の皺や粘土によって形作られた盛り上がった部分が、とても印象的だった。

それが3期になるとさらに探求されて確立されていく作品となって現れる。

印象的なのは骨のような形とまるい何か。それは何なのかはわからなくても、作品を特徴づける要素となって、目に焼き付いて記憶に残る。

月や日と共に鳥が描かれることからも、まるいかたちというのが、印象深いイメージがある。

 自画像が何点か展示されているが、一九七五年大晦日のは、氏の部屋だと思われる場所にあるものがとても細やかにリアルに描かれていて、その存在感には驚いた。

BBプラザの宣伝タペストリーに使われている一九八二年正月の自画像はコラージュの部分もあって、細かく見ているとその時代に入り込んだ気分になる。コラージュに使われている写真を拝見すると、下村氏はとても整ったお顔立ちをされていると思った。

中央のガラスケース展示台には、アトリエから貸し出されたと思われる貴重な資料がたくさん展示されている。学生時代の同人誌、模写作品や手がけたパンフレットの現物、挿絵を担当した当時の新聞の切り抜きやその挿絵のための参考写真、お店のマッチのデザインを担当されたらしく、そのマッチの現物、絵に使用した型、印などなど、この展覧会でなければ見ることができないだろうというものが並んでいる。

 

また「やけもの」と称される作品も多く展示されていて、鳴鳥徳利が数展、壺が数点あるが、どれも印象的。また壺に彫られた文字がなんとも味のあるかわいらしい形をしていて、いいなあと思った。親爺匣(おやじばこ)と名付けられた亡き下村氏の父を偲んで作られたという作品は、父の生い立ちやこれまでのことなどがその素敵な文字で彫られていて、裏面が読めなかったのが残念だった。

 

第4期では、1980年代半ば頃から制作されたシリーズ「月明を翔く」の〈那〉が展示されている(チラシにも使われている作品)。

そもそも私が下村良之介氏を知ったのが、京阪出町柳駅構内にある「月明を翔く」〈弥〉だったので、なんとしてでも見たい作品だった。

出町柳駅構内の〈弥〉はガラス越しでしか見られなかったが、展示されている〈那〉を隔てられるものが何もない状態で見られることに、喜びを感じた。絵に描かれている月のふちの濃淡や絵の凹凸をはっきりと感じることができて、近くで見ても遠くで見ても心を打たれた。その一角には椅子が置いてあり、しばらく座って眺めていた。

 

この日は平日で開館時間すぐだったこともあり、来館者はあまり多くなく、ゆったりと見て回ることができた。

受付兼ミュージアムショップでは下村良之介関連書籍やグッズも販売されていた。一筆箋や京都国立近代美術館での展覧会で販売されていたと思われる絵葉書セット、氏のデザインした陶ブローチや布製品、そして展覧会のパンフレット。これがまたとてもよくまとめられた内容で素晴らしい!

 

前期日程は12月22日で終了してしまうが、後期日程は2020年1月7日(火)〜2月16日(日)で開催される。16点ほど展示入れ替えがあるが、展示台の資料、やけもの、主要な作品は前期後期通して展示される。

悩んでいる方はぜひ行ってほしい。

 BBプラザ美術館のサイトはこちら↓

bbpmuseum.jp

下村良之介作品をデータベースで見ることができるサイトのリンクを貼っておく。

雰囲気を感じてもらえたら幸い。

 

https://jmapps.ne.jp/otanimuseum/sakka_det.html?list_count=10&person_id=162

 

http://jmapps.ne.jp/kariya_art/sakka_det.html?list_count=10&person_id=69