みやふきんの見聞録

見聞きしたり感じたものを記録するブログ

書店はあこがれの世界

作家のほしおさなえさんが関わっておられるhoshoboshiの雑誌「星々 vol.1」の特集が「書店」で、購読者の方々が寄稿されたエッセイを読み、私も書店について語りたい、と思ってこの記事を書くことにしました。いくつかの項目に分けて書いていこうと思います。

 

1.幼い頃と書店

私は1970年代生まれで、まだ町に本屋さんがいくつもあるような頃だったと思う。人口8,000人ほどの田舎町の故郷にも本屋さんはあった。一軒だけ。雑誌と文庫とコミックと話題の本くらいの品揃えしかないような本屋さんだったけれど、小学生の私はおこづかいやお年玉で大好きな漫画のコミックを買うのが楽しみでしかたなかった。大人になった今も、そのお店で買ったコミックは、カバーはなくしてしまい、ボロボロになっても、買い換えずに大切にしている。その本屋さんも私が高校生になる頃には廃業してしまった。

 

2.高校生の寄り道スポット

田舎だと町内に高校がないことも多く、私の故郷もそうだった。電車通学することになり、高校の最寄駅から高校までの通り道にその書店はあって、下校時には電車通学の学生が多く立ち読みしていた。私も例にもれずかなりの頻度で立ち寄って、ライトノベルの走りである文庫や新書を買っていた。ぐっと書店が身近になった私は、その頃から書店で働きたいと考えるようになっていたように思う。ところが、高校には書店の求人がなく、安易にも大学生になれば求人もあるに違いないと考えて、普通科の就職組のクラスだったのに、高3の夏に進路変更して大学受験を決めた。無事に大学に合格。そしてクラス担任から書店でのアルバイトを紹介してもらう。それが、高校最寄駅から通学路の通り道にある書店だった。

 

3.小さな書店でのアルバイト

その書店はよくある町の書店らしく、店舗での販売と雑誌の定期購読配達をしていた。私は大学が終わった後の夕方から閉店まで、主にレジと返本作業をしていた。日販とか東販とか取次という存在があることをその時に知った。小さな書店なので、選書するのはあまりなくて、取次から回ってくる本を並べていた。取次の企画するフェアとかはあったけれど、正直、自分で選書したいという思いでいっぱいになっていた頃だった。私にできるのはフェアの本をいかに目にとまるように並べるか、くらいのものだった。

そのフェアの本をよく買ってくれる女の子がいた。実はその女の子は私がバイトする書店の数軒となりのスーパーでバイトしていて、私が通う大学の同学年別学科の女の子だった。本を買ってくれることが嬉しかったことは今も覚えている。残念ながらその女の子とは一度も話すことはなかった。今の私なら話しかけることができているかもしれないが、その頃の私は人見知りで怖がりだった。

3.就職活動と書店

就職氷河期より前の世代、バブル崩壊後すぐの就職で、まだ求人も多かった。私はとにかく書店に応募しまくった。関西でそれなりに大手の書店、全国展開している老舗書店、その頃増えていた郊外型の大型店を展開する書店。三次面接までいったのが、郊外型の書店。でもいわゆる圧迫面接で、うまく答えられなくて撃沈。書店員になることを諦めた(早い諦めである)私は、この頃から同人誌活動にのめり込んでいった。

4.社会人になってからの書店

車を手に入れた私、夜、比較的遅い時間も活動するようになった。深夜も空いているような大型古書店や、もう少し早い時間に閉まるBOOK OFFに出かける。30分ほど立ち読みして楽しんだあと、気になった単行本を買ったり、漫画本を一気買いしたり、いちばん気軽に本を購入していた頃だ。もちろん普通の新刊を扱う書店でも本をたくさん買っていた。その頃の私のいちばんのお気に入りの本屋は川を隔てた隣町にあり、規模的にはそんなに大きくはなかったが、学生が多い街ということもあって、いわゆるサブカル系の本もたくさん置いていた。私はその本屋さんで写真家の荒木経惟や随筆家の赤瀬川原平藤原新也を知り、人形作家の天野可淡を知った。本屋さんに行くことで広がる世界があった。今はその本屋さんは喫茶店に変わってしまったけれど、私の記憶にはずっと残り続けている。

 

以上、書店について長々と語りました。

冒頭に書いたhoshiboshi の雑誌はこちら↓のサイトのオンラインショップから購入できます。

私の140字小説(過去作ですが)も、佳作で入選したので一編だけ載せてもらっています。

よければサイトをご覧になってみて下さい。

www.hoshiboshi2020.com